Q5.苦手な先輩看護師がいます。どう対応すれば良いのでしょうか。
配属された病棟に怖い先輩看護師がいます。言葉や態度がきつくて、機嫌の悪い時は挨拶や報告を無視されることもあります。
私は新人なのでその先輩がプリセプターとして指導についてくれているのですが、分からないことや確認してほしいことがあっても、怖くてなかなか言い出すことができません。
また、声をかけても冷たくあしらわれるときもあります。「前も教えたよね」と言われて、それ以上確認できず、自分の責任ではありますがミスをしてしまったこともありました。
その先輩は他の先輩看護師や医師とはニコニコ話しているときもありますが、新人の看護師にはあたりが強いようです。
仲良くなりたいとまでは思いませんが、仕事に支障がないレベルに付き合えるようになりたいです。どうすればよいのでしょうか。
(大阪府在住 21歳 / 看護師歴1年)
未経験の処置の見学・実施を自ら申し出る
気難しい先輩看護師ほど、新人のやる気の有無に敏感なものです。あなたにそのつもりがなくても、行動のひとつひとつからやる気がないと解釈されてしまうこともあります。
そのような勘違いをされないためにも、普段から、行動に気をつけてみてください。あなたにやる気があるということをわかりやすくアピールするのです。
病棟や患者さんのスケジュールを事前にチェックし、あなたが未経験の処置があれば、見学や実施をして勉強をしたいと先輩に申し出てください。
あなたが担当している患者さんでなくても、新人看護師が勉強したいと申し出れば受け持ち患者の変更などスケジュールの変更をしてくれるはずです。
人に言われてやるのではなく、自ら申し出ることが大切です。
前日までに分かっていれば、どんな処置なのかマニュアルや教科書をチェックして予習しておくとさらに良いでしょう。
入院の受け入れやナースコール対応を率先して行う
あなたが抱えている仕事量にもよりますが、入院の受け入れやコール対応があれば誰よりも早く声をあげるようにしましょう。
新人が入院受け入れやコール対応をやっているか、先輩看護師たちはよく見ています。
コールが聞こえているのに自分の仕事ばかりしているのは、周りを見ないやる気のない新人だと思われてしまいます。
積極的に、誰よりも早く動くようにしましょう。
知識や技術がなくてもできる仕事を確実に行う
新人看護師は先輩看護師に比べて知識や技術が未熟で、できる仕事には限りがあります。
しかし、新人看護師でも「知識や技術がなくてもできる仕事」を確実に行うことで、周りの信頼を得ることができます。
- 病棟の診療材料や文房具類の補充、整理
- 検温表の入力や入院の事務処理などを抜けなく行う
- 電話対応、取次の対応
- 点滴のミキシングや準備
- 内服薬の配薬の準備
このような業務であれば、専門的な知識が未熟な新人看護師でもできますよね。いわゆる雑用ですが、大切な仕事です。
周囲からの信頼が厚ければ、気難しい先輩のあなたへの見方も変わるかもしれません。地味な仕事が多いですが、コツコツと確実に信頼を積み立てていきましょう。
自分から挨拶をする
すれ違う人全員に笑顔で挨拶をするようにしましょう。
- 朝:お疲れさまです or おはようございます
- 勤務中:お疲れさまです
- 退勤時:お疲れさまです or お先に失礼します
社会人経験のない人がやりがちですが、「ご苦労さまです」は目上の人に対してはNGなので覚えておいてくださいね。
職場にもよるかもしれませんが、夜勤で出勤したときに「おはようございます」というところもあります。私のところは時間帯や出勤退勤に関係なくすべて「お疲れさまです」が基本でした。
特にその日お世話になった人がいたら、「今日はありがとうございました。勉強になりました。」と素直に感謝の言葉を添えても印象◎です。
先輩の機嫌が悪く挨拶を返してくれなくても、あなたが先輩に挨拶をしているという事実が大事です。無視されるのはつらいですが、めげずに毎日挨拶を続けてくださいね。
報連相を徹底する
報告、連絡、相談の「報連相」は非常に重要です。
- 自分の今日の予定
- 今何をしているか
- アセスメント
などなど、自分の行動すべてを、指導をしてくれる先輩(プリセプター)にしつこいくらい報連相をおこなってください。
ほぼすべてのミスやインシデントは、情報共有があれば防ぐことができます。
特に、気難しい先輩は自分に報連相がなくミスが起こった場合、とても気を悪くする傾向にあります。
無視されたり、冷たくあしらわれたとしても、あなたがプリセプターに対し報連相を行ったということは非常に重要です。
「苦手な先輩だから」と自分から距離をとるのは失礼にあたります。もし、早急に相談したいことがあるのに連絡がつかない場合は、その旨も含めて近くの相談しやすい先輩に相談してください。
もちろんその後で、プリセプターへの報告も欠かさないでくださいね。プリセプターが全てを把握できるように報告することが大切です。
早めの出勤・情報収集をする
最近では働き方改革として、業務開始時間より過度に早く出勤し、情報収集することは禁じられていることが多いです。
でも、先輩より遅く出勤するのはタブーです。
先輩たちが出勤し始める時間より少しだけ早く病棟に到着できるようにすると印象が良いだけでなく、情報収集もはかどります。
余裕があれば「知識や技術がなくてもできる仕事」に時間を割いても良いかもしれません。
先輩たちは、新人の出勤時間や、病棟についてからの様子をよく見ています。
過度に早く出勤する必要はありませんが、ひんしゅくを買わない程度に早く出勤した方がいいでしょう。
余計なおしゃべりは控える
業務に余裕のある時や空いた時間に、看護師たちが雑談をしていることはよくあります。
しかし、新人は雑談の輪に入らない方が賢明です。
先輩たちの話は気になるかもしれませんが、自分の仕事を終わらせたり、「知識や技術がなくてもできる仕事」を優先しましょう。
もし話をふられても、必要最低限のことだけ当たり障りなく返すことをおすすめします。
あまりおしゃべりに興じていると、気難しい先輩はそんなあなたを見て「余裕ぶっている」とか「調子にのっている」というように判断することがあります。
休憩時間のおしゃべりも、なるべく聞き役に回った方がいいでしょう。話をするとしたら、業務についてや担当患者の情報共有を兼ねた話題にすると無難です。
あと、同期など気を許せる相手と話す時でも人の悪口は決して言わないように気をつけてくださいね。
看護師をしていると人間関係のストレスは多いですが、思わず口にしたことに尾ひれがついて本人の耳に届いてしまい、一気に信頼を失うなんてこともあります。
まとめ
気難しいと感じる先輩ほど、新人の言動をよく見ています。
特にプリセプターは、看護師としては3年目ですが、プリセプターとしてはまだ新人なんです。つい気合が入ってしまって、必要以上に新人看護師に対して厳しい目で監視してしまうという側面もあるでしょう。
苦手な先輩だからと逃げていては、状況はよくなりません。先輩に信頼されるために、一つでもできることから始めてみましょう。あなたへの信頼が積み重なれば、先輩の対応も変わってくるかもしれません。
先輩の信頼を得るということは、自分の看護師としてのキャリアアップにつながることでもあります。
先輩にゴマをするためと思わず、自らの成長のためと思って実践してみてくださいね。