小児循環器のハイフローとローフロー|マイナーな領域だけど面白い!

小児循環器,ハイフロー,ローフロー
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ハジメ

こんにちは!
現役看護師のハジメです。

今日は小児循環器・先天性心疾患の「ハイフロー」「ローフロー」のお話です。

マイナーな領域で勉強に困っている方のために、小児循環器を10年やってきた僕からアドバイスをさせていただきます。

少しでも小児循環器に興味を持って、楽しく勉強できる取っ掛かりになれば嬉しいです!

循環器って難しい?マイナーだけど面白い

小児循環器,ハイフロー,ローフロー

僕は小児循環器科の患者さんが入院する病棟で勤務しているのですが、新人スタッフだけでなく異動してきたスタッフにもよく言われる言葉があります。

「循環器って難しい。」

看護学生の時代から、大半の人が思っていることだと思います。

「命」に直結する心臓=循環器というイメージ

患者さんの見た目で判断しづらいし、よく見てないと何が起こっているのかわかりにくいですよね。

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「循環器=心臓=命に直結するもの」ってイメージも大きいと思います。

  • いつ急変に当たるかわからない・・・。
  • 自分の担当患者さんが死んじゃったらどうしよう・・・。

こんな不安な思いをしながら働いている看護師さんは多いのではないでしょうか。

先天性心疾患も多い「小児循環器」

その循環器の中でも「小児循環器」は、ほぼすべての患者が先天性心疾患をもつ子どもたちです。

  • 非チアノーゼ性疾患の心房中隔欠損症や心室中隔欠損症
  • チアノーゼ性心疾患のファロー四徴症
  • フォンタン手術が基本になる単心室症や左心低形成症候群

といった重症心疾患まで多くの種類がありますよね。

「ICUで管理した方が良いのでは?」と思う状況の患者さんも多く、心疾患・心電図・呼吸管理・気管切開患者のケア等・・・覚えることがたくさんあって大変です。

心臓と肺を一連の臓器だと認識する

僕が異動したてのころはなかなか連想できなかったことなのですが、実は小児循環器科の患者さんを担当するにあたって一番大切なことって、心臓と肺を一連の臓器のようなものと認識することでした。

肺って呼吸器じゃないの?って思いますよね。そうなのですが、「肺は循環器の一部だ」と考える方が理解しやすくなりますよ!

先天性心疾患で大切な「ハイフロー・ローフロー」という指標

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先天性心疾患の一歩目は「ハイフロー」と「ローフロー」だと思っています。

先天性心疾患の中でも単純に穴が開いているだけのものや、血管の繋がり方や心室の大きさが違うなど、同じ疾患の名前でも重症度が異なるものがありますよね。

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ただ、患者さんをみるうえでまず最初のポイントになるのはハイフロー・ローフローです。

■ハイフロー、ローフローって何?

単純に言ってしまうと、肺への血流が多いか少ないかです。

全身に巡る血流よりも肺へ流れる血流が、

  • 多いのがハイフロー
  • 少ないのがローフロー

ということですね。

検査の値で言えば「肺体血流比」で、Qp/Qsと表されます。心臓カテーテル検査のレポートとかにも書いていますね。

略語が多い職場で忘れないように、僕は意味まで覚えるようにしているのですが、

Qp/Qsは「pulmonary(肺) blood flow/systemic(全身) blood flow ratio」の略語です。

Qp/Qs値が1より大きければハイフロー、1より小さければローフローなので覚えておきましょう。

ハイフローについて

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ハイフローで問題になりやすいのはやっぱり肺高血圧(PulmonaryHypertension)です。

生後、肺血管は空気を取り込むことで柔らかくなります。

しかし、そこに血流が多く流れ続けると血管が肥厚・硬くなり、さらに肺高血圧(PH)が進むと心臓から肺への血流が流れにくくなってしまうのです。

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教科書でも出てきたかなーと思いますが、アイゼンメンジャー化というのはこれの極地です。

こう言うとPH=ハイフローから生じるものって印象をもってしまって、非チアノーゼ性疾患ばかりをイメージするかもしれませんが、先天性心疾患の内、胎児期からPHが進行してしまう疾患もあるんですよね。

例えば左心低形成症候群(HLHS)や総肺静脈還流異常症(TAPVC)の肺静脈狭窄(PVO)を伴うものとかですね。

胎児期から形態的に体血流より肺血流が多い疾患だけでなく、肺うっ血を伴う疾患があげられます。

こういうことがあるので、形態的にはローフローだけど、PHって状況が起こりうるのです。

「ハイフロー」患者の看護のポイント

PHの症状としては、

  • 多呼吸
  • 哺乳不良
  • 体重増加不良
  • 発汗等

が表れやすいです。

多呼吸で無理に哺乳を続けると呼吸努力が増えて、心負荷を増やしてしまうことがあります。

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経口摂取が難しければ経胃チューブを使用することも大切ですね。

また、呼吸がしんどそうだと酸素投与を考えがちですが、基本的にハイフローの患者さんに酸素投与は禁忌です。

酸素投与が肺血管抵抗を低下させ、肺血流の増加につながってしまうからです。

ハイフローが進行している子どもで体血流が乏しすぎると、新生児壊死性腸炎(NEC:ネック)を発症した患者さんもみてきました。

特に動脈管開存症(PDA)で、インダシン投与の患者さんが合併しやすい印象です。こういう事例では腹部症状にも注意が必要ですね!

あとは泣かせ過ぎないこと。泣けないほどしんどくなっている子どももいるので、普段よく泣いてたのに・・・って気付けることも大切な観察ポイントですよ!

ローフローについて

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ローフローと言えばチアノーゼですね。

泣いてしまうと顔色が暗紫色になったり、青黒くなったりというイメージでしょうか。口唇色が紫になるのも目立ちますよね。

代表的なもので言えば、ファロー四徴症。肺動脈狭窄(PS)が強ければスペル発作(無酸素発作)を発症するリスクもあります。

この他にも肺動脈狭窄(PS)を伴う複雑心奇形や大血管転転位症の3型があてはまります。

低酸素状態のため、こちらも多呼吸を認めることはありますが、呼吸障害や哺乳不良を認めることは少ないです。

また、体血流量も減少することはないため尿量低下なども少ないですね。

基本的に酸素投与が行われ、肺血管抵抗を下げることで肺血流を確保するよう管理していることがほとんどです。

「ローフロー」患者の看護のポイント

一番怖いのは無酸素発作。肺動脈狭窄をもつ患者さんで大切なのは、循環血液量を十分に保つことです。

脱水等で血流量が減ってしまうと、肺血流が余計に流れにくくなり、無酸素発作に繋がる可能性が上がってしまいます。

また、普段注意しなければいけないのが泣き過ぎないことです。啼泣に伴い、チアノーゼが増強するリスクが高まります。

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入院中の患者さんでSPO2値の低下などが目立つようであれば、鎮静剤の投与も考慮が必要です。

もし、無酸素発作が起きた場合の初期対応は、

  • 安静保持
  • 酸素投与

の2つにつきます。

そのため、ベッドサイドには少なくともジャクソンリースもしくはマスクを常備しておくことが大切です。

発作に気づいたら、胸膝位といって足のひざをお腹に押しつけるようにします。

こうすることにより体よりも肺に血液が流れやすくなり発作を治める手助けをします。

まとめ

今回は、小児循環器・先天性心疾患を勉強するための取っ掛かりを作る内容としてみました。

循環器って難しいけど、分かり始めるとすごく面白い!と思える、その第一歩になれるような内容をこれからも追加していこうと思います。