機能不全家庭で育った看護師の成功体験談|人間関係・対人スキル・コミュニケーションの悩み

看護師,発達障害,コミュニケーション コミュニケーション術

皆さんはじめまして。現役看護師のマリと申します。

今回、看護ログ管理人のハジメさんから、「マリさんの体験談を書いてほしい」ということでお話があり、せっかくなのでこの場をお借りして、私の体験談を書かせていただきます。

 

看護師の悩みと検索すれば必ず筆頭に上がるのが人間関係ですよね。

看護師になったが最後、患者、患者家族、医師を始めとするコワーカー、さらにベテランの先輩看護師達と渡り合っていかなければなりません。

ただでさえ難しい対人コミュニケーション。

ここでは機能不全家庭で育ち、対人スキルを教わらなかった私が、臨床実習や医療現場で苦労して学んだことをお話したいと思います。

機能不全家庭とは?教育されずに育った私の家庭環境

機能不全家族(DysfunctionalFamily)とは、家内に対立や不法行為、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクト等が恒常的に存在する家庭を指す。

その状態は家庭崩壊もしくは家族崩壊といわれている。

〈wikipediaより引用〉

私の育った家庭には、物心ついた頃から会話がありませんでした。

自ら放任主義といって、子どもを成り行き任せで育てる両親。

生まれてこの方「教育」された覚えがありません。

父親は仕事に忙しく家族に無関心。

母親は子供の言い分を全く受け入れず「子ども=うるさい」を全身で表現する人でした。

やることなす事全て否定する割に、人と接する為のマナーや対処法を全く教えてくれませんでした。

ネグレクトです。

そんな両親は私が中学生の頃離婚しました。

人生の大前提の家庭を失ってしまった私は、不安定になり人と接するのが益々苦手になりました。

発達段階でつまずいた看護師の苦労

高校時代のあるキッカケで看護師を志し、病院の何たるかも知らず看護学生になりました。

その頃は病院で働きながら准看護師の免許を取った後進学して、正看護師の免許を取るのが主流でした。

高卒後一番最初に勤めた病院での話

勤務が終わって病院のロビーでたむろするヘルパーさんに、深く考えずに「何してるの〜?」と聞いたんです。

そうしたらリーダー格のヘルパーさんが火がついた様に怒り出しました。

正直「え?え?何がダメだったの?」と理由が分からない。

結局は私の口のきき方が失礼だと怒っていたらしいですが、当時の私には全く理解出来ませんでした。

かといって謝るわけでもなくただボー然自失。

今の私だったら後でこっそり「ゴメンナサイ、何か気に触りましたか?」と聞けるでしょう。

でも当時の私は何も出来なかった。

他人に面と向かって怒られた経験、さらに謝った経験が無かったからです。

それだけじゃありません。

院長に「これ薬局へ持って行って」と渡された処方箋を受け取る時に「そうですか」と言ってしまって大目玉を食らったこともあります。

この時もショックで泣きはしたものの、その後どうやってフォローしていいかも分かリませんでした。

看護師さん達は見て見ぬ振りです。

「院長先生は怖いよね〜」でおしまい。

エリクソンの発達段階で「発達障害」に相当

医療従事者であればエリクソンの発達段階はご存知ですよね。

年齢相応に精神状態が成長しているかを評価する指標です。

その頃の私は今で言う「発達障害」に相当するくらい精神状態が未成熟でした。

本来なら家庭や友人関係や学校で培われるはずの対話スキルや、自分自身のアイデンティティーを確立する為の「成功体験」がなかったのです。

そんな私にも処世術がありました。それは何があってもニコニコ、相手の言うことは意味が分からなくても全是正する事です。

何を言われてもそれに対して怒ったり反論するなんて考えられません。

全てにおいて受け身でいることで難を逃れていました。

当然自己評価はいつもマイナスでした。

臨床実習最大の収穫は「教育」の大切さを知ったこと

そんな風に受け身だけで生活して来た私は、臨床実習に出て非常に苦労しました。

人生で初めて「教育」の大切さを知る

最も苦労したのは、受け持ち患者の情報を収集してアセスメントし、レベルに合わせた指導を「発信」することでした。

それまで私は、相手が発する情報を受け止めるだけで生活して来たのです。

学校で習った文面上のコミュニケーションをする言葉を知らず、自信の欠片も無い私は心底困りました。

ある日のミーティングで「子どもを育てる知識の無いお母さんに必要なものは何?」
と指導者に聞かれて

「教育です」

と答えるのに1時間もかかりました。

子どもを育てる知識のないお母さんのために私達ができることと言えば、子どもを育てるための知識を教えてあげること。こんな当たり前なこともわからなかったのです。

怒らず急かさず、いろんなヒントで私に答えさせてくれた指導者さんには、今でも本当に感謝しています。

きっと私の抱える問題に気付いて、適切に「教育」してくれたのだと思います。

人生で初めての「成功体験」

そしてその時必死に考えに考えて「教育」した初出産のお母さんが、嬉しいことにとても感謝してくれたのです。

  • 「知識がない人に知識を提供するのが教育」
  • 「教育によって人は大きく変わる」

それを目の当たりにした瞬間でした。

人生で初めて実感出来た「成功体験」です。

そして患者教育の大切さを実感したのをきっかけに、発達段階が遅れていて対人スキルが低い自分にも、教育する必要があると気付きました。

それからキャビンアテンダントが実践する接遇マナーの本を読み漁りました。

お喋りに必要な対人スキルを手に入れる為に、自分を「教育」したのです。

看護師は自分を大切にして

患者個人を誠心誠意ケアする気遣いの看護は、日本人だからできる部分が大いにあるでしょう。

なのになぜ、日本の看護現場は混沌としているのか不思議に思いませんか?

これは、日本の看護システムはナイチンゲールを始めとする欧米人の理論をもとにしているからだと言われています。

欧米人は個人を尊重、日本人は集団を尊重

欧米人は義務教育課程において自分を独立した個性を持つ個人だと教わり、自らの信念を持っています。

集団の一員として個々を尊重するのは当たり前です。

では日本人はどうでしょう?

日本人は集団の一員として他を尊重し協調するのが美徳と教わります。

自らの確固たる信念をもちにくい環境にあります。

そういった環境に育っているのに、看護師教育や医療現場では欧米人並の独立した思想を持っているものとして扱われるのです。

一度確立した日本人としてのアイデンティティーを、欧米式の医療スタイルに合わせるために再構築しないといけない。

私の様に機能不全家族に育っていなくても大変な作業なのです。

自分を大切に!「成功体験」を積み重ねて

通常私達が看護師資格を取るために七転八倒している頃(10代後半から20代前半)はアイデンティティの確立期であり、とても不安定な精神状態にあります。

成功体験が多ければ自分を認め愛する事ができ、失敗体験が多ければ自己否定に陥って抜け出せなくなる。

これが原因で看護師だと最悪離職してしまうわけです。

今、「私は看護師に向いてないかも?」と不安を抱えている人はいますか?

もしそうならまず自分を大事に育ててアイデンティティーを確立してほしい。

看護関係じゃなくても良いから「成功体験」を沢山持って欲しい。

そうすれば自然と色々な問題が解決できるようになるはずですから。

まとめ

今日は、機能不全家庭で育った私の体験談をお話させていただきました。

ハジメさんに「ぜひ書いて欲しい」と言われて、とても嬉しかったです。そして、看護ログに載せていただけること、この場をお借りして御礼申し上げます。

ここまで読んでいただいた皆様にも感謝をお伝えしたいです。

今日は本当に、ありがとうございました。

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